「英語学習の新境地!名文を通じて楽しむ英文鑑賞力の高め方」
新しい英語学習法を提案する一冊
英語の学習は、ほとんどの人にとって難しい挑戦の一つかもしれません。
学校や塾での勉強、参考書を使った独学など、それぞれ自分に合った方法を見つけるために多くの努力をしていることでしょう。
しかし、「英文鑑賞」という視点が加わることで、英語学習はもっと楽しく、もっと深いものになるのではないでしょうか。
そんな可能性を感じさせてくれるのが、北村一真さんの新著『メイブンデマナブエイゴノヨミカタ』です。
この本は、ただ英語の文法や語彙を学ぶだけではなく、「良さや面白さを味わいながら英語を読む」という新たなスタイルを提案しています。
著者自身の豊かな経験をもとに、初中級者の方々に向けて書かれたこの本が、果たしてどのように役立つのか、具体的に見ていきましょう。
著者の経歴と本書の背景
北村一真さんは、1982年に生まれ、慶應義塾大学大学院の後期博士課程を修了しています。
大学時代には、関西地方の大学受験塾で英語講師を務め、その後、いくつかの大学で非常勤講師として教鞭をとってきました。
09年には杏林大学外国語学部の助教、その後准教授にも就任するという経歴を持つ、まさに英語教育のスペシャリストです。
本書が登場する背景には、英文読解だけでなく、もっと多くの人が英語を楽しむための方法が求められているという現代のニーズがあります。
通常の英語学習では、語彙や文法に目を向けがちですが、北村さんはこれに加えて文化的な背景や文学的な要素を支えにした鑑賞へと誘います。
このアプローチが、英語に対する興味を引き出し、さらには学習そのものを楽しいものにしていく鍵となるのです。
第1章:童話で英語を楽しむ
本書の第1章では、童話を通して英語を学ぶ方法が提案されています。
たとえば、"The North Wind and the Sun"や"The Hare and the Tortoise"といった、誰でも知っている物語が題材です。
童話はシンプルでわかりやすいストーリー展開が特徴であり、英語学習者にとって理想的な材料です。
著者は、これらの童話をただ訳すのではなく、物語の背後にあるメッセージやテーマに焦点を当て、読者に新たな視点で楽しむことを促します。
具体的には、物語の展開に関して質問を投げかけ、自分自身で考えさせる方法が採られています。
こうしたストーリーテリングの手法は、英語を“読む”だけでなく“感じる”体験を提供し、学習者は無意識のうちに英語の語彙や表現に触れることができます。
さらに、章の最後では簡単なクイズが設けられており、学習した内容を整理するのに役立ちます。
このように、“楽しく英文を読み、考える”というスタイルは、学習効果を高めるだけでなく、記憶にも残りやすくなります。
童話の持つ力を活かしながら、英語力を向上させていくこの章は、絵本から文学へと広がる道を開くものです。
第2章:短編をじっくりと味わう
次に、第2章では、北村さんが選んだ短編小説を基にした内容が展開されます。
特に取り上げられるのはLafcadio Hearnの"Yuki-Onna"や、Ambrose Bierceの"John Mortonson’s Funeral"です。
これらの作品は短く、深い意味を含んでいるため、短時間で集中して読むことができるのが魅力です。
短編小説というフォーマットは、物語を無理に引き延ばすことなく、焦点を絞った形で面白さを体験できるため、英語学習者に適しています。
各短編について、北村さんは解説を加え、物語の背後にある文化や時代背景を分かりやすく伝えます。
特に日本文化や異文化に触れることで、英語の学習だけでなく、幅広い知識を得ることもできます。
章の中では、読後に考えさせられる質問やディスカッションのテーマも設けられています。
こうした内容は、自宅での個人学習だけではなく、仲間と一緒に学ぶ際にも非常に有用です。
短編小説を通して、新しい発見や思考を楽しく促進していく本章は、読者を飽きさせることなく、英語の魅力を存分に引き出します。
第3章:長編に挑戦する
最後に、第3章では、著者が細かく分析する長編作品であるGeorge Orwellの"Animal Farm"が取り上げられます。
この作品は簡潔な文体にもかかわらず、深い思想やメッセージを内包しています。
北村さんは、この長編を通じて、英語を学ぶ上で大切なこと、つまり「文脈を把握すること」の重要性を強調します。
作品の背景や登場人物の動機、物語のテーマを理解しながら読むことで、より高い鑑賞力を身につけることができます。
実際のテキストを引用しながら、具体的な表現や文法についても触れているため、学習者は自然と語彙を増やすことができ、異なるスタイルの英語表現を学べます。
さらに、*Animal Farm*を題材にしたディスカッションやクイズも用意されていて、思考を深める手助けとなります。
このように、著者はただ読むだけの学びを越え、長編小説を通じて、考えさせられる体験を提供しているのです。
これは、英語を読む楽しさと同時に、グローバルな視点を持つことの重要性を実感させてくれます。
まとめ:英語の楽しさを引き出す一冊
北村一真さんの『メイブンデマナブエイゴノヨミカタ』は、単なる英語の学習書ではなく、英語の文学に新たな視点を提供する一冊です。
童話、短編小説、長編小説という多様な形式を通して、読むことの楽しさを発見させてくれる内容は、英語学習の新たな道を開いてくれるかもしれません。
この本は、英語の授業で感じていた苦痛や退屈さを取り払うと共に、“英語を読む”という新しい楽しみを与えてくれます。
英語を学ぶことに興味のあるすべての人に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
自分のペースで文学を楽しみながら、英語力を高めていく。
そうした新しい学びのスタイルが、この本には詰まっています。